腰痛のリスクは直立二足歩行から?

平成22年に行われた厚生労働省の国民生活基礎調査によると、身体の痛み、症状として男性が主に感じている自覚症状のトップは腰痛(女性は1位:肩こり、2位:腰痛)だという結果が出ました。さらに現在では、増加の一途をたどっていると言われています。
腰痛が起こる基礎的なメカニズムは、肩こりとほとんど同じです。同じ姿勢を長時間とり続けたり、無理な姿勢を長年続けることによって、腰周辺の筋肉が硬くなり血行不良が起こります。その結果、栄養不足と酸素状態に陥り、痛み物質(ブラジキニン、プロスタグランジン)が発生します。
「にくづき(月・体)」に「かなめ(要)」と描いて『腰』。その字が表しているように、身体の要である腰への日常的負担は実は計り知れないものなのです。上半身の重さは身体全体の6割近く、つまり土台である下半身が運動不足や老化、負担のかけ過ぎによって弱ったとしても腰がカバーしてくれています。

ヒトの発育発達過程から見る腰痛

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生まれたばかりの赤ちゃんの背骨は、C字の丸いカーブを描いています。このため、立つことはもちろん自力では移動できません。生後半年くらい経つと頸椎が前弯(お腹側にカーブ)して首が持ち上がり、ハイハイを始めるようになります。
さらに生後1年程度でつかまり立ちをするようになると、腰椎が前弯し、S字カーブが完成します。やがて2本の足でヨチヨチ歩き始めますが、腰はまさにこの時から負担を強いられるようになるのです。
まっすぐ立った姿勢での腰にかかる負担を「1」とすると、横向きで寝た姿勢はその「4分の3」、仰向けで寝た姿勢は「4分の1」。立って上体を前に傾けると、腰への負担は「1.5倍」に増し、座った姿勢は「1.4倍」に相当します。前のめりの姿勢で座り、荷物を持つと「約2.75倍」の負担がさらに腰にかかります。そのため、腰にはこの膨大な負担に耐えるために腰周辺の仕組みは頑丈にできています。

5つある腰椎の骨は、首や胸の骨(頸椎)に比べてサイズが大きく、その周辺には太い靭帯が張り巡らされてしっかりサポートしてくれます。ところが、大きく頑丈な構造ゆえに一度痛めてしまうと治りにくくむしろ悪化しやすいでのす。そんな負担の大きな腰を本当に良くすることができるのでしょうか…?

腰を治すには姿勢が重要!!

立った姿勢より座った姿勢の方が腰椎の椎間板にかかる負担が大きいので、一日中パソコンの前で前のめりな姿勢を続けている人は、腰痛になりやすい傾向にあります。また、ちょっとお腹が出ている肥満体型の人もお腹を前に突き出して立つため腰がお腹側に反った姿勢になり、腰椎のカーブがきつくなるので支えて腰をささえている筋肉が悲鳴をあげ、腰を痛めやすくなります。男性よりも筋肉の量が少ない女性の場合、なおさらです。
本来、私たちヒトは“自前のコルセット”を持っています。それは「インナーユニット」と呼ばれる筋肉の総称で、身体を支える、動かす際に力を発揮し、腰痛改善にも一役かってくれています。このインナーユニットを活性化し、本来の力を取り戻すことが腰痛改善および腰痛予防の第一歩です。
(詳しくは姿勢改善メソッドをご覧下さい)